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 2010年07月 

消費税を上げるということ 

総理大臣が菅さんに変わり、いきなり消費税論議が持ち上がる。
流通業を視点に消費税を論じさせていただくと、これほど厄介なものは無い。

簡単に消費税を上げるというが、消費税を上げるということはどういうことなのか?
まずは消費税を上げる日取りが決められて、それまでに買い溜めが始まる。

買い溜めをするということはその後の消費が落ち込むということである。
消費税値上げ前はお店の売り上げは一気に上がり、消費税値上げ後は一気に落ち込むのである。
以前の消費税の3%から5%の引き上げのときもそうだった。
消費税が値あがった後のお店の売り上げは2割減、好況から一転不況のどん底に陥るのである。

それが消費税を上げるということ。

一般庶民から数%の消費税を巻き上げて、国家財政が良くなるなったとしても国民は不幸だ。誰のための政府で誰の方向を向いているのか。

私が消費税に納得いかないのは「輸出戻し税」があることもある。
輸出をしている大企業は一銭の消費税も払っていない。払っていないどころか消費税を還付してもらってるのである。それが「輸出戻し税」だ。

年間消費税の合計金額は10兆円、その約1割に当たる1兆円を輸出企業に還付している。庶民から消費税を集めて輸出大企業に還元しているのが消費税の仕組みだ。
当然、消費税率が大きくなれば、還付するお金も大きくなる。大企業の企業団体が消費税の値上げにこぞって賛成するのはそのためである。

また、総額表示(内税方式)のままであることも大問題だ。
お店は出来るだけ商品価格を安く見せようと努力し価格付けをする。
しかしその努力をしても、消費税は容赦なく上がっていく。
そうすると、消費税が上がっても少ない利益であっても価格に転嫁できないお店が増えてくる。以前のように商品価格と消費税が分かれて表示できたのなら、消費税の値上げ分だけ表示を書き換えればいい。しかし消費税を含んだ価格を表示するとなるとお店の負担が相対的に大きくなる。

消費税を値上げするのであれば、総額表示を即廃止し、以前のように外税方式に全面的に切り替えることが物の対価と税金を明確にする良策である。

姑息な消費税隠しをお店に加担させる今の総額表示の義務化は、消費税金額を目立たなくさせる官僚のご都合主義でしかない。そのつけがすべての流通業者に回されこのままでは大量の閉店せざる終えないお店も出てくるであろう。

簡単に総理が変わって、簡単に消費税論議を変えるそれほど甘い税制ではないことを十分に認知すべきである。税は他にもたくさんある、消費税は何も手立てが無くすることが無くなった最後の手段として考えるべき税制であることを理解して欲しいものである。



(価格の表示)
第六十三条の二  事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)は、不特定かつ多数の者に課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行う場合(専ら他の事業者に課税資産の譲渡等を行う場合を除く。)において、あらかじめ課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の価格を表示するときは、当該資産又は役務に係る消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額を含めた価格を表示しなければならない。
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