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2002/01/30「5年後の独り言(2007年の展望)」  

<過去ログ>2002/01/30

ある新卒の応募者のメールの中に、「御社の5年後の展望を教えてください」っていう質問があった。
本来ならば、生真面目に答えなくても、ある程度の展望で答えればいいものを
ふと、「まてよ、本気で5年後を予測するのも面白いな」と思いつつ
このようなたわごとを書き綴ることにした。

インターネットとは面白いもので、いまだに4年前の独り言が残っている
残っているというよりも残しているといったほうが賢明かもしれない。
残すことによって、自分の考えていたことを振り返り、またそれを何年後かに読む人がいる。
私の自宅の本棚に92年に買った「10年後の日本」という本がある。
いまさら読む気もしないが地下鉄のような建築物の設計計画以外はほとんどあたってないだろう。

10年前の日本というと、バブルの絶頂期から陰りが見えた時期で
誰もがここまで不況が長引くとも思わず、土地や株が元に戻るのを待望していた時期でもある。
失業率が5.6%を超え、まだまだ数字が上がっていくだろうこの時期に
5年後の展望を述べろとは、なんと無茶な質問で、
また、それに回答をしようとしている私は、なんて世間知らずなんだろうか・・
会社を始めてこの15年いろんな経験をつみ、多少は予測をつけることも出来る気がする。
ただ、5年後にこの文章を読まれて、笑われないようにしたいなと思うだけである。

私は常々、ひとつの商品のピークは5年が限界である、という持論を説いている。
5年を終えるとその商品の新鮮度はなくなり、飽きられ、次の新しい商品に取って代わられる。
そして、その成長が早ければ早いほど、そのピークの期間は短くなる。
その商品の寿命を少しでも長くしようと思えば、随時改革を行い、商品を拡張し、成長させていくこと。
ただし、その成長のピークにも限界があり、そのピークを過ぎれば徐々に減退していく。

私はBCPOSという商品でその持論の実験を行っている。
BCPOSという商品は業種向けパッケージという非常に地味な商品でいっぺんに拡大する商品ではあり得ない。
だが、流通業というものがなくならない限り、この商品の需要もなくならない。
機械(ハード)というものは、一度購入するとなかなか買換えすることが出来ないものである。
特にPOS機器などというと、最低でも5年以上は使い続ける耐久資材に近いものがある。
2000年問題やユーロのように一度にピークの需要が迎えるならば、集中したPRも必要であろう。

しかし、この商品においては、じんわりとしたPRにおいてせんでんをかける商品であろうと思っている。
そのため、派手さもなく、知る人も知りという商品として育てている。
急激な拡大を抑えて、じっくりとした営業展開を行うことが一つの目標でもある。

専用POS機器の土壌を選ばずに、パソコンといった土壌を選んだのも実験の一つである。
狭い流通業の範疇の中で物事を考えるよりも、広い世界の中で流通業を見守って生きたい。
私自身がパソコン世界の人間でもあり、流通業界の人間でもある。
パソコンは一つのユーティリティーであり、道具である。
POSも一つのユーティリティーである道具である。
そして、インターネットも一つのユーティリティーであり、道具である。
どれ一つとっても、それだけで完結することは出来ない。
必要であり、全部ではない。

道具は使いこなして初めて役に立つのであって、使わなければただの箱に等しい
ただ、道具は誰もが使いこなせるわけではない。
ヒューマンインターフェイスが大きな意味でキーであろうと思う。
使いやすさ、わかりやすさ、便利性、これらがそろって初めて誰もが使いこなせるものになる。
どうも、コンピュータ社会の人間は物事をわかりづらく言うことが多い。
でも、物事の根幹は、アナログであろうがデジタルであろうが使えるものは使える、使えないものは使えない

コンピュータのように何でも出来そうなものは、わかりづらいものも作ることが出来る。
現場のわからない人間が作ったものほど使えないものはない。
パソコンという何でも出来る機械を、じっくり現場に密着して作ることが原点である。

需要の予測をせずに世の中を語ることは出来ない。
ここ十年来、私は常々言い聞かせてきた。
需要というものがあるからこそ、商品を作ることが出来るし、商品を売ることが出来る。
しかし、いつの日か需要は拡大し続けると世の中が勘違いした時期がある。
すべてのものに需要と供給があり、需要を供給が上回ったらその社会は崩壊する。
では、どうすれば需要を見間違えないで運営をしていくことが出来るのか?

それは、常に消費者側にたって物事を見ることである。
世の中にサプライチェーンマネージメントなんて間違った考えがある。
供給する側が世の中を牛耳るなんて、おこがましくもほどがある。
ある程度までは、効率化が出来ても、商品供給にて消費者を縛ろうなんて!
その極みたるソニーなんて会社が10年後にいまだトップに君臨できるのだろうか?
ソニーがその方向性を変更したらわからないが
求められているものを作る、この方向性は5年後も変わらないであろう。
というよりも、今あるお客のニーズを吸い上げずして、会社が成り立つはずがない。
会社の流れからしても、当初レンタルシステムからリサイクル、物販に流れた図式は
お客(お店)のニーズに従ってきたからである。
お店も必死に生き残りをかけている。

今までのように、在庫管理などのような待ちの姿勢の効率化だけではなく、
顧客管理のような攻めの姿勢の集客化が一つの武器になる。
お店が求めているのは、効率化だけでなく売上を伸ばせるシステムである。
集客化は売上を伸ばす要素にもつながり、システムでも可能な案件である。
売上UP=お客のニーズ=需要 であるからには
今後とも、お店とタイアップしながらニーズを拾い、売上を伸ばせるシステム作りに励む
そのためには、しばらくは顧客管理の強化が重要な課題になる。

いくらお店の売上が増えても、それにかける経費が多く加算されたのでは元も子もない
お店からしてみれば、システムにかける費用は少なければ少ないほどいい。
しかし、システム会社からみれば少ししかもらえないのであれば多くのお客を開拓するしかない。

仕組みからして、多くのお店を開拓せざるおえなくしてしまったのがレントウェアである。
レントウェアは、お店のニーズから発生している。
5年前にBCPOSを開発し始めたころ、
これからは何百万もするシステムが売れるだろうか?
お客はどのようなシステムを求めているのだろうか?
どのようなシステムを作ればお客は買ってくれるだろうか?
などと、自問、自答しながら考えたのがレントウェアという売り方である。

大きな問題点は、
これまでの買い取ってくれたお客様とどのように差別化していくか?
ソフトを売っても今までの1/10の料金しか入ってこなくて、どうやって会社を維持していくか?
など、ざまざまな難問を抱えての出発点であった

その反面、
初期導入費用が安いために、一度に多くの店舗に導入が可能な点や
発想の新しさ、システムの斬新さ、などが目に引き
思った以上に順調な販売実績の積み上げが可能であった。
発売してから、早4年、発売した当初が一番苦しく、初期の難解な運営を乗り越え、
今となっては、5年前に考えたあの発想が10年後の見通しだったのである。
現在2500セットの販売実績があり、5年後は1万セットの販売が目標値である。
一度使っていただいたお客様は、不都合がない限り使ってくれると思っている。
きちんとお客のニーズに合わせた商品を維持できれば、この業界の中での地位は硬い

会社をやっているといろいろな誘惑が多い。
「ビジコムはなぜFCをやらないの?」よく聞かれる質問である。
特に流通系のフランチャイズは、自社システムの開発に一番苦労するところである。
その苦労するシステムを持っているのだから、「FCは出来るでしょ!」って発想である。
94年にインターネットを始めたときは、「プロバイダーをやらない!」ってお誘いを受けた。
96年には、「携帯電話、回線を売りませんか?」ってお誘いを受けた。
確かに、どれも伸び盛りの業種であり、少しかじっておけばかなり成長したかもしれない。
しかし、私が手が出さなかった理由は、自分の土俵ではないからである。
いま、バブルで崩壊している企業はすべて、本業ではなく、副業に手を出して失敗した会社が多い。
一時的に急成長することが出来ても、5年でピークに達したらあとは落ちていくばかりである。
多くのお店を抱える我が社にとって、5年で会社を解散することは避けたい。
当社がなくなれば2500店ものお店のシステムを面倒を見る人がいなくなってしまう。
いま、私が目標にしているのは、「パソコンPOS」のシェアNO1である。
決して大きな目標ではない。しかし簡単な目標でもない。
一つの業種、一つの土俵でじっくり基盤をきづくことは、信用とシェアを両立できることであろう。
そして、パソコンPOSでNO1になったならば、その信用を武器に新しい仕事を探すつもりだ。
まだ、5年間はこの業態を離れそうにない。

POSはお店で情報を吸い上げるまず最初の窓口である。
パソコンをベースにするBCPOSが全国に1万セット稼動しているとしたら。
BCPOSで統一されたフォーマットを収集するだけでかなりの情報が蓄積される。
たとえば、今メーカーが自分の商品・在庫を管理するために無償にてPOSを配っている。
それは多くの商品の1メーカだけのPOSであり、お店としては偏った系列化を嫌う。
BCPOSは中立なシステムであり、どこのメーカにも属してはいない。
そして今後とも属す予定もない。

1万セット導入すれば、一つの県の一つの業種に最低でも数十台のPOSシステムが存在することになり
そのお店の許可を得るならば、そのデータを手に入れることも自由である。
あのセブンイレブンが全国に8000店舗だから、その数がどれほどのものかわかるだろう。
5年後に1万セットのBCPOSからの情報をほしがるメーカが存在するだろ。
1万セット売れば、当然パソコンPOSの業界でもナンバーワンであろうから
そのときに初めて、次の目標である新しい情報処理会社が存在する。

5年後の会社の生き残りのキーワードとして

1.急激な成長を求めず、緩やかな成長を求める
2.道具屋(パソコン屋)として使いやすさ、わかりやすさ、便利性を求める
3.需要と供給を最大限に重視し、お客のニーズを追及する
4.お客様の求めやすい価格帯の商品を供給する
5.目先の利益にとらわれず、自分の土俵で勝負する
6.目標台数の販売に努め、販売が出来たら次のステップにすすむ

これは、5年後というよりも、会社の方向性、将来の展望かもしれない。
ベクトルの方向性が間違っていなければ、社会の変化のスピードが早くても決して間違いはあるまい。


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