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第4話「ストアシステムはパソコンPOSで構築せよ!!」  

1996/10 雑誌ストアシステム連載

前回はポイントカードの話を中心にお話しましたが、いかにお店を活性化するよい方法であっても、それを構築するシステムが、馬鹿高くて採算が取れないようでは、システムを導入する意味がありません。

パソコンPOSは、システムをできるだけ安く構築するための材料であり、お店を活性化するためのヒントであります。

パソコンPOSの採算を具体化するためにいくつかのお店の例をお話したいと思います。


システムでお客の流れが変わる

システムでお店が監視する

システムで商品が飽和化する

システムが個別商品を引き立たせる

システムで商品のサイクルを発見する

リアル処理の可能なパソコンPOS

POSと連動した在庫管理

パソコンPOSでの粗利管理

パソコンPOSは欲張りなPOS。しかし実現は可能


システムでお客の流れが変わる(仮説・ある競合薬局のお話)
これはよく私がお会いした人にポイントカードを薦めるための、あくまでも架空のお話です。

ある町で、道一本はさんで坪数、売り上げ規模のほとんど変わらない競合する薬局のA店とB店とがあったとします。A店はとB店はお互いライバル関係にあり常に競合していたとします。

A店では某メーカーのドリンク剤、リポビタン**10本パックを1000円で、B店では10本パックに1本サービスして1100円と、ほとんど値段もサービスも現在は変わりません。

しかしある日、A店がポイントカードが取り扱えるパソコンPOSシステムを導入しました。月々3万円前後のリース費用(5年)がかかり、今までのレジスターに比べると少し高価になりましたが、お客に対するサービスは格段にアップしました。方やB店は今までのレジを変わらず使用し、お客が商品を購入する毎にスタンプカードにスタンプを押しています。

A店がパソコンPOSシステムを導入した日から、A店とB店のお客に対するサービスの形が変化しはじめます。A店では1100円のリポビタン**が売れるとその5%がポイントとして加算され、再来店の時にお金と同様に値引きとして使われます。方やB店は同じリポビタン**が売れると今まで通りのスタンプカード(20個スタンプが押されると500円の値引きされたりするもの)に500円毎スタンプがペタペタと押されます。

しばらくの間は何も競争がなかったように両店の営業が続きます。表面上は何ら今までに変わりなく、A店とB店は価格競争をしているわけではありません。一年後にはA店とB店のどちらが活況でしょうか?

私がこの話をして、「あなたはどちらの店に商品を買いに行きますか?」とたずねるとほとんどの方がA店と答えます。それはなぜでしょうか?ほとんどの方々が「やはりすぐに使えるポイントが魅力だね。」といいます。今のお客様は、ポイントの概念にも定着し、スタンプが20個押されるのを待つよりも次回または希望時に値引かれることを望むからです。

その結果1年後にはB店のお客がA店に流れ、A店は顧客の囲い込みに成功したことになります。

ポイントカードの恐ろしさは、次回から使用できるために、表面上見た目の値引きが発生せず、ライバル店は知らないうちに差がつけられていることです。

ここでいえる重要なことはシステムの導入によってお客の流れを変えることができる、ということがいえると思います。

この話はあくまでも架空の話でしかありません。なぜ薬局を例に取ったかといいますと、薬局は全国津々浦々に存在し、今まで再販制度に守られ価格競争も少なく、その上お店の件数も多い業種です。ですから自由化の流れになったならばすぐにでも競争に巻き込まれやすい業種でもあるわけです。しかしながら再販等で差別が付けにくい商品に関しては、内部的にいろいろな顧客サービス(スタンプサービス等)を行っている店も多くあります。POPなども多く見られ、工夫をよくしているお店が多いからです。

しかしこの関係は単に薬局だけのケースではおさまりません。前回ご紹介したように早くからポイントカードを始めた東京のヨドバシカメラと、ポイントの取り組みに遅れたサクラヤの関係にそのまま当てはめることができます。また、東京の新宿ではデーパート戦争が始まろうとしており、すでにポイントカードの導入(7%ポイント)を始めた高島屋とまだポイントカードを導入していないその他のデパートの1年後の関係に必ず現れてくると私は考えています。


システムでお店が監視する(ある洋食レストランのお話)
あるレストランのチェーン店では、オーダリングPOSシステムの導入を検討していました。フロアと厨房とを無線で結び注文をスムーズに流していくシステムは魅力的なのですが、費用的な面でいますぐに導入しようというの機運がなかなか社内に起きませんでした。

しかしある事件がきっかけで十数店のお店にいっきにシステムの導入がなされました。ある事件というのは、お店を任されていた店長が売り上げをごまかしていた管理上の問題でした。その社員はお店の店長で、本社からもアルバイトからも信頼されてた人物だったため不正の発覚もなかなかできませんでした。

その店長が不正を働きはじめたきっかけは単純です。このお店では、ラストオーダーを過ぎると、お客様の各テーブルを店長が回って清算をしていくという方法をとっていました。ある日いつものように店長が清算を行い、レジ閉めを行います。しかしレジを閉め本社に売り上げを連絡した後で、未処理のお金と伝票が出てきました。お金を受け取るトレーとトレーの間に伝票とお金が挟まっていたのです。そのためにレジに入金をすることができませんでした。

別に悪意があって行ったことではなく、たまたま見落として入金しなかっただけのことです。その日はどう処理していいのか解らず、机の中に伝票とお金を閉まって帰宅します。店長は気にはかけていたのですが次の日も次の日も何ら本社から連絡はありません。本社からしてもレジに入金がなかったわけですからチェックできる体制にはなかったわけです。

数日後店長はそのお金をポケットに閉まってしまいます。そしてレジに入力がないと本社が何らチェックできないことに気づきます。結局この日から店長の不正が始まりました。

この方法の最大の問題点は、注文をもらった段階では伝票を起こすのに、レジに対する入金はお客様に食事を出した後一番最後に行っていたということです。そのため一度起こした伝票でも、お金をもらった後で伝票を破棄することによってお金を懐に入れることができます。

この問題もシステムを導入することによっていとも簡単に防ぐことができました。オーダリングシステムでは、お客様から注文を取った時点で売り上げがPOSに発生しますので、POSレジに対する入金がなされないという問題も解決されます。またコンピュータ上の伝票の削除も当然のことながら内部に記録を取ることによって、間違えて行ったのか、意図的に行ったのかの区別もつきます。

当然のことながら、毎日の不正の積み重ね金額とシステムの導入費用、便利さを比較したなら、本社がシステムをすぐに導入する気になったのもうなずけます。そしてもし、このようなシステムが最初から導入されていれば優秀な人材も失わなかったかもしれません。

単にオーダーリングシステム一つをとってみても、オーダーを取る手間をシステム化して簡略化するという目的のほかに、人の流れを作るという目的、人が関与する不正をさせないという複数の目的がシステムの導入によってなされることになります。


システムで商品が飽和化する(ABC分析の弊害)

ABC分析というと、流通業の中では、売れ筋と死に筋の商品を分けて最大限の売上げ効率を目指す一つの分析と見られています。しかしABC分析にも大きなほころびが目立ってきました。私はABC分析をすべて否定するつもりはありませんが、ある特定業種を除いて、参考を50パーセント程度に留めるべきだと考えています。ある業種というのはスーパーやコンビニエンスです。スーパーやコンビニエンスにおいてはABC分析は非常に有効に働いています。

スーパーやコンビニエンスでは日用雑貨や食料品を中心に商品の品揃えを行っているため、売れる商品だけをならべることが必修条件になってきます。しかしながらすべてのスーパーやコンビニエンスが売れる商品だけを並べたらどうなるでしょうか?。お店の数が少ない時代であるならばそのお店は大きな売り上げを上げることができます。

しかし今はスーパーやコンビニエンスも過当競争の時代に突入しています。どこの店でもABC分析を行い、どこの店でも同じ商品が並んでいたらどうでしょうか?需要に対して供給が過剰になった商品は、必需商品ではあっても売れ筋商品ではなくなります。

商品の需要にはどんな売れ筋商品であっても限りがあることをもっと周知するべきです。売れる商品だけを並べるお店はマンネリ化し、どこの店とも競合体制になります。供給するお店の数が増えすぎた時点で、今までのABC分析の効果は激減し、売れ筋商品を発見するのではなく、必需品を見つけるためだけの分析に成り下がってしまいます。

どこでも買える商品。そんな商品ばかりが店頭に並んでいたならば消費者はその店で買おうという意欲は薄れてしまいます。事実どこのコンビニエンスのチェーン本部も、できるだけ自分たちのチェーン店の色を出そうとオリジナル商品の開発に力を入れています。しかしオリジナルであればあるほどそのチェーン店の特徴は出ますが、お客がコンビニエンスに求めている必需品から離れていきます。

これはコンビニエンスストアが飽和状態に近づいたことを示しています。コンビニエンスはどの流通業界よりもコンピュータシステムが近代化しています。いかにコンピュータシステムが優れているといっても、マーケットでの情報収集を行い需要の吸収は可能でも、必要以上の需要拡大はコンピュータシステムを使っても望めないのです。

もしあなたのお店がコンビニエンスストアでないのであれば、供給飽満常態にある商品の販売マーケットから早く切り抜けるべきです。私はパソコンPOSを進める立場からも、情報分析はできても、その情報分析によってマーケットを拡大させる方法は生み出せません。競争激化したマーケーットでは、一人勝ちは可能性が薄く、まして勝ち逃げの方法などは説明できません。供給が需要を上回った業界の中では、いくらデータ分析したとしても、人的な要素が強すぎてうまくはいきません。

このように私がABC分析をあまりお勧めしない理由は、誰もがABC分析を行って分析の結果どの店も同じ商品をならべては、売れる商品も分散されて売れなくなる、という結果につきます。そして現代のコンビニエンスは本部で十分にABC分析できる能力を持っていますし、すべてのコンビニのチェーン店がその結果を実行すれば、供給が需要を上回りABC分析がうまく作用しないと言う理由からです。

システムが個別商品を引き立たせる(コンビニエンスでない店作り)
コンビニエンスが飽和状態である一方、私はコンビニエンスではないお店作りをお勧めしたいと考えています。事実最近は、いままでにないような業態のお店が増えてきました。カテゴリーキラーと呼ばれるタイプのお店もその一つです。お店に置く商品を一つのアイテムに絞り、その中で数多くの種類を揃えていくような店舗です。たとえば、輸入雑貨を扱う店、浴槽で使う石鹸などのバス用品だけを扱うお店等、お店で扱う商品そのものにこだわり、特徴を持たせ、一つの業態の中で徹底的に商品を追求するタイプのお店です。

この形態のお店では、売れる商品を探すこと自体が一つの大きな仕事になります。爆発的に売れるヒット商品はあまりありません。商品構成やレイアウトやお客のニーズを見ながら刻刻と変化し、利益を出すまでに2年から3年もかかる店が珍しくありません。その代わり一度コンスタントに売れる商品を見つけるとその商品はどこの店にもない利益の大きなお店の目玉商品になります。

一つのカテゴリーに絞り、そのカテゴリーの中でできるだけ商品をそろえ、他店との差別化を行っていきます。売れる商品だけを幅広く薄くそろえるコンビニエンスの品揃えとは性格が違ってきます。専門店で売れる商品だけをお店において並べたのでは置いたのではお店が成り立たないからです。

そのようなお店の場合、個々の商品一つ一つがお店の主役になります。同じ種類の商品が数多くそろってお店の形態が成り立ちますので、そういったお店では、売れる売れないといったような区別をすること自体が難しくなります。今まで売れないと決めつけられていたような商品でも、そういった商品の種類をちゃんとそろえて、表舞台に出してやることによって売れる商品になるケースも多くあります。またあまり売れない商品であっても、売れる商品を引き立たせる役目を持ちます。

今まで売れる商品ばかりを並べることが中心だったお店の業態の中でも、他店と変化をもたらす為に差別化し、特徴を持ったお店が増えてきています。そのため幅の広い商品をそろえていくことが重要になり、下位の商品の動向も把握していくことが重要になります。

このような店舗において商品の性格の見極めが重要になります。売れている商品を見つけることは、今までのPOSシステムでも比較的簡単に行うことができましたが、売れ筋ベスト商品でなく、必要商品であるものを選別することは意外に難しい作業です。そこで重要になってくるのが、その商品の期間に区切った売上げ状況です。この期間に区切った売上げ状況を把握することによって下位商品であってもお店に必要かどうかが決定します。

システムで商品のサイクルを発見する(個別商品の動向管理)
売れているか売れていないかの判断は、期間設定によって感じ方がかなり違ってきます。商品のサイクルは、物によってさまざまで、毎日売れるもの、毎週売れるもの、毎月売れるもの等、その商品にはそれぞれ特徴を持っています。そのさまざまな特徴を持っているのに、たった一週間で区切って売れる売れないを決めること自体が間違った商品知識を生みます。

1ヶ月に一度コンスタントに売れる商品でも、1週間で区切って売れる売れないを判断されたなら売れない商品として分類されるでしょう。しかしこの商品は決して売れない商品ではありません。ここで重要なのはものの、商品が売れる売れないの判断は、その商品販売サイクルによって決まるということです。販売サイクルが一定の商品はコンスタントに売れることを示しており本当は必要商品です。しかし販売サイクルが不安定であったり、徐々にサイクル長くなっている商品、最終販売日から期間がかなりあいている商品は売れない商品に分類してもかまいません。

この辺はABC分析の考え方とはかなり違います。ABC分析はある一定期間に売れた商品の上位をそろえて下位の商品は切り捨てていく考え方です。しかしこの考え方では下位の商品でもコンスタントに売れる商品を見つけていくことは難しくなります。先ほども少し述べましたように上位の商品は競争の激しい商品ですので利益が薄くなります。しかしながら下位の商品でもコンスタントに売れる商品は競合も少なく、利益の取りやすい商品になります。

この事は売上げを重視した考え方がABC分析の考え方であり、利益を重視した考えかたが個別商品動向管理の考え方になってきます。

個別商品の動向を管理するためには、個々の商品の時系列の仕入れ、販売、在庫の動きを把握していくことが重要になります。

それではシステムでどのようなデータを用意し分析していけばようのでしょうか。




上記の画面のように横軸に月と週の時間の流れをとっています。画面の上段には販売された商品の動き回数を表示し、下段に商品の仕入れのようすを表示しています。この画面によって商品の月々の動きが伸びているのか、コンスタントなのか、落ちているのかがわかります。仕入れの数を販売が上回れば在庫が少ないと品切れの状態になるのがわかります。

期間の範囲指定に関しては、商品によって月単位で把握したい商品と、週単位で把握したい商品、日単位で把握したい商品がありますので、それぞれの特徴に応じたデーターの蓄積が必要になります。横軸に日、週、月等の単位で販売実績をとっていけばどのような商品でも商品動向を把握することができるようになります。



リアル処理の可能なパソコンPOS
商品のサイクルや個別動向をつかむ必要性を考えると、データ処理をスピーディーに行う必要性がシステムの中に発生します。

従来型の専用POSでは在庫や利益の計算をさせることをPOS自体でさせることはほとんどできませんでした。POSとは売上げを上げるための機械でありそれ自体でデータ分析を行おうという考えがなく、ストコンやオフコンなどとバッチ処理で連動させて、そちらで集計しようというケースがほとんどでした。

そのため在庫が月一度の棚卸し時にしか確認できなかったり、事務所の中でコンピュータを叩かないと在庫や稼動の様子が見られませんでした。それは前にお話したように今までの専用POSはレジ側から事務所のコンピュータへの一方通行でしかなかったからです。そのようなお店はどんぶり勘定で経営が成り立つはずがありません。

しかし、POSがパソコンに移行されることにより、パソコンPOSは今までの専用POSにはなかった分析能力を持つことが可能になります(むろんプログラムがされての話だが)。パソコンがPOSになることによって、パソコンPOSは情報端末に変身します。そこで十分に可能なのが、POSに連動した在庫管理や、稼動実績の動向管理です。

パソコン自体にデータを蓄積し集計することもできますが、LANなどで何台ものコンピュータを結んだ場合、当然のことながらパソコンはサーバーからデータを吸い上げ情報を画面に表示することもできます。そのため今までに情報を見る機会が少なかった現場レベルでの分析が可能になり、大雑把な分析から細かい単品レベルでの分析が可能になります。

このことはお店が担当者、または個店レベル商品動向を見る目を作りあげていきます。担当者レベルでお店の商品の状態を把握させることは、担当者にも意見を出させ、商品の品揃えに参加させる材料になります。

現場レベルの人間を仕入れに担当させることが良いのか悪いのかはそのお店の判断になりますが、一番商品を知った人間の判断基準が仕入れに反映されることは大きな意味でプラスになります。

このことは、単品の商品動向管理が非常に重要であり、これらのお店にとって商品の品揃えに大きな影響を与えます。現場担当者が商品の動向を知ることによって、利益の大きな商品を早く見つけることもできるし、売れない商品を早く処理をすることもできます。

しかも他では扱っていない商品を扱うために商品の単価を競争する必要もありませんし一つあたりの利益は大きな物になります。

POSと連動した在庫管理
今までのPOSは、商品を売ったとき売れた数、金額を計算することは可能でも、リアルタイムに在庫をPOS内部で管理することはあまり行われませんでした。在庫は通常ストコンなどにデータが送られバッチ処理されることが多く、リアルな状況で在庫を判断することは難しいことでした。

それはなぜかというと、複数台レジが導入された場合、リアルタイムに在庫を管理するのが難しいという理由があります。リアルタイムに商品の在庫を表示するには商品のデータから在庫数を読み込む必要が出てきます。そして販売を行った場合は販売した数だけを差っ引いて在庫の数を書き込む必要があります。常にデータを読んだり書いたりする作業が在庫には存在します。

POSが1台の場合はそのマシンのみでデータを読んだり書いたりするわけですから問題は起きません。しかしながら複数台数のPOSで処理しようとした場合、もし同じ商品に同時にアクセスしたとすれば、在庫を読み込むタイミングと在庫を書き込むタイミングがずれることによって、何も処理していなければ在庫を狂わす結果になります。

たとえば1台目のPOSがその商品の在庫を10個と認識し、その販売処理を終える前に2台目のPOSが同じ商品の在庫を読み込みます。1台目のPOSが販売を終えていないわけですから2台目のPOSも在庫を10個と認識してしまいます。そのシステムが何も処理をしていなければ、1台目のPOSが販売を終了した時点で在庫が9個、2台目のPOSが販売を終了した時点では在庫が8個でなくてはならないのに、2台目のPOSは自分の在庫を10個だと思っていますので在庫が9個になります。これでは在庫が常に狂ってきますので商品のデータに対して何らかの処理をしてやる必要があります。

それは排他制御という処理で、システムが同じデータにアクセスしてきた場合、1台目の処理が終わるまで他のシステムがその商品のアクセスができないように制限をかけ、1台目の処理が終わってからはじめて処理ができるようにする処理です。しかしながらこの処理はプログラムレベルで非常に面倒な処理であまりPOSに使われることはありませんでした。しかしパソコンの世界では、排他制御を行うことは常に当たり前の世界で今後パソコンPOSを行う上でこの処理ができるかどうかがその機能の格差になってくると考えます。

今までのPOSでは在庫をリアルタイムに管理しないことが当たり前で、在庫管理する場合はバッチによる処理が当たり前でした。この考え方は従来型のPOSを開発してきたプログラマーにとっては当たり前のことであり安易な方法でもあります。しかしながら複雑なプログラムが容易なパソコンでPOSを行う限り排他制御によるリアルタイムな在庫管理は行うべき処理であると私は考えます。


パソコンPOSでの粗利管理
POSシステムでの粗利の管理も今までの考え方にはあまりありません。しかしパソコンPOSで構築する限り粗利を算出することは可能な処理になります。

まず粗利を出すためには、その商品の在庫の原価や平均の単価を出す必要があります。在庫に関しては先ほどパソコンPOSでうまく処理してやることが可能であるとの考え方を示しましたが、初期の在庫数、在庫金額を起こしす為には、単に直接在庫金額や数を入力するのではなく、仕入れの作業によってを起こす必要があります。

今までの考え方ですとPOSで仕入れを起こすという考え方はほとんどありません。今までの通常はバックヤードのオフコンやストコンによって仕入れは仕入れで起こし、POSとのバッチ処理によって処理する方法が一般的です。しかしながらパソコンPOSの場合は、POSとしての使用方法からパソコンとしての使用方法に業務を拡大し、パソコンとして仕入れを起こすことも可能になってきます。

パソコンとして仕入れの操作を起こし、在庫金額、在庫数のデータをディスクの中に保管し、販売ではPOSとしてディスクの中から在庫を減らしていく。すべての処理がリアルタイムに可能であれば、この考え方の中に在庫金額の計算式を盛り込んで、販売と同時に売れた商品の粗利計算をすることが可能になってきます。

その計算のもとである在庫金額を評価する計算方法には税務上いくつかの種類があります。パソコンPOSで可能な評価方法としては最終仕入原価法や総平均法、移動平均法などの評価方法です。最終単価法で粗利を計算する場合は、販売金額から最終仕入金額を差っ引くだけで粗利が導き出せますので安易に粗利が計算できます。しかし総平均法の場合はその商品の仕入金額の合計をシステムの中に持たせる必要がありますし、移動平均法の場合は常に変動する在庫金額をシステムの中に持っておく必要があります。そして販売金額からその在庫金額を差っ引いて粗利を導き出すことになります。

在庫金額の計算が非常に難しいのであって、在庫金額の導きさえできれば粗利計算の方法はそれほど難しい問題ではありません。そのための仕組みとしてリアルタイムに処理する為の排他制御や仕入の管理が非常に重要になるのです。



ここからコラム

パソコンPOSは欲張りなPOS。しかし実現は可能
計4回によって「ストアシステムはPC―POSで構築せよ」を連載してきましたが、読者の方々はどのように感じているでしょうか?

今までのPOSの世界から見るとかなり突出したような考え方に思うかもしれません。しかしながらパソコンの可能性を考えると決して無理な技術ではありません。パソコンでは在庫管理も顧客管理も仕入管理も可能です。それに販売というPOS機能を追加しただけのシステムがパソコンPOSシステムなのです。

私どもは2年前にパソコンPOSセンターを池袋に開設し、いろいろな方々とパソコンPOSの可能性について論争をしてきました。パソコンPOSの方向についてはどのメーカーの方々もソフトハウスの方々も今後かなりの勢いで成長するという見方で一致しています。このストアシステムが発刊されたのもその一年後のことでした。

その間パソコンがすごい勢いで値下がりを始め性能も格段に進歩しました。Windows95が発売されて、マイクロソフトもOLE協議会という流通業専門の協議団体を作ったり、パソコンのCPUの性能も3ヶ月毎に性能がアップし、メモリーの価格が毎日のように値下がりしてきました。またインターネットというような情報の通信手段がまたたく間に現れ、流通業などで提唱するJ手順やH手順といったような流通専用の通信方法は特殊な環境の中で取り残されてしまっています。今や流通だとか金融だとかで特殊な基準や環境を作る時代は終わり、パソコンそのものが標準な環境を構築していきます。

パソコンPOSセンターの運用自体もかなり変化が見られました。最初は流通業の方々に秋葉原で売っているようなパソコンの形をしたPOSシステムを紹介するショールームとしてオープンしましたが、途中95年にはPOSメーカーのPC―POS化(メーカーはオープンPOSと読んでいる)によって従来型のPOSの形をしたPC-POSシステムも扱うようになりました。

また最初のターゲットにしたお客様はお店のオーナーだったのが、いざオープンすると、こられるお客様はパソコン系やオフコン系のディーラー、コンサルタントの方々が多かったのも驚きでした。そのようなディーラーがショールームに訪れるようになった理由は、ユーザーからPC―POSに近いシステムの相談受けているが、資料を探したのだがなかなかほしい資料が集まらないためでした。それほどまでにパソコンPOSに対する日本国内での情報の不足していたのです。

そのため私どもが営業もそこそこに努力したことはPC―POSのソフトウェアを作成しているソフトハウスとの交流やPOS周辺機器を扱っているハードメーカー、POSメーカーとの情報交換や資料作成です。その甲斐あってか現在60社のソフトハウスと海外を含む20数社のハードメーカーと情報交換が常にできる立場にあります。

それらのソフトハウスの動きを見ても確実に今までのPOSシステムの作りとは違う管理機能を含んだPC-POSシステムが各社から発表されようとしています。それらのシステムはただ単に売上げを集計する為だけではなく、ポイント管理機能も、顧客管理機能も、在庫管理機能も、粗利管理機能も持っていますので、今回ご紹介したような機能追加は既存のシステムで可能なのです。

外部環境がすでに流通業という環境の中だけで留まらず、新しい概念が竹の子のように生まれ、竹のようにいっきに成長する時代です。その最先端をなすものがパソコンだと考えています。これらの新しいシステムとうまく共存していくことが、今後の店舗展開の大きな原動力になっていくとともに、パソコンを一つの道具としてうまく活用いただければお店にとっても新しい展開が必ず開けるものと確信しています。

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